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ポーの話
ポーの話_b0026230_2182498.jpg好き:★★★★☆

いしいしんじ・著。
発売と同時(五月)に買い、ずっと読むタイミングを逸してましたが、やっとこ読み終わりました。
いしいしんじ、2年振りの新作書き下ろし長編。待ってた。

相変わらずの、厳しくも優しいファンタジィ。
現実のイタさと夢の心地よさを等分に含んだ物語。


困難なくして、幸せは見つけられない。この人の小説には、そういう信念が一貫してあると思う。
ただただ柔らかくて穏やかな世界は許されない。ありえない。
簡単に言ってしまえば、山あり谷ありな人生。
でも、そんな安易な言葉では片付けたくない複雑な造りをしている世界。

超現実。スーパーで、メタ。
あくまでファンタジィを描きながら、そこでは決して終わらせない現実味を帯びている。

ポーはうなぎ女の息子。うなぎ女たちの大事な宝。
泥河で右岸と左岸に区切られた街。川に架かる無数の橋。
500年振りの大雨が、ポーを別の世界へ誘う。

いしいしんじの書く話は悲しくて切ない。
でも何処かで憧れを抱かせる。楽園が描かれている訳では決してないのに。
# by ling-mu.m | 2005-10-12 02:32 | いしいしんじ
@ザ・グローブ・プロジェクト
冬に本番を迎える芝居に軽く関わってます。
学生演劇を主体として、そこにプロが惜しみなく協力しようという試み。
プロの元締めは天下のジャニーズ事務所さん。
という訳で上演はグローブ座にて。
詳しくはこの辺を参照→シアターガイド 仮設サイト

その芝居の台本がやっと決まったということで、読ませて頂きました。

正直、学生演劇つまんないし、と思っています私は。
大学に入ってからしばらくは学生演劇ばかり観てましたが、割とすぐに飽きました。
だって役者が下手だし、取り敢えず役者が下手だし、何より役者が下手だし。
でも何が一番 嫌かって、客席の、全員 関係者もしくは知り合いですオーラ。
アタシはいつも何のツテもなく勝手に観に行ってる人だったのだけど、身内! ていう、そういう空気にすごく居心地を悪くしてた。
意味の分からない、明らかに身内だからココなんだろうな、というところで受ける客の反応も嫌だった。
その狭さと、閉鎖性が嫌いだった。

そんな私ですが、それでも芝居は好きだし劇サーには入り損ねたし、芝居に中から関わっとくならここだ。と思って、このプロジェクトへの参加を決めたのです。
プロが関わって大劇場でやってチケットもちゃんと売って、それなら あのキモチワルイ空間を味わうことはない、と思ったし。

で、したいのは台本の話で。
プロの脚本家・演出家・演じ手がいくつかの公募作の中から選んだものな訳で、だったらアタシが気に入ろうが気に入らまいが、芝居として作り上げる楽しみを持たせる、面白い台本なのでしょう。
文字で読んだだけでは、まだ、すげぇいいハナシ! とは言えません。
うん、面白い、かなー・・・。という感じ。他の人がどう読んでるか、早く知りたいです。
やはり芝居として立体的にならないと、分からない。それはアタシがまだまだ数を読みこなしてないし観てもいない、ということの表れであって、正直ちょっと悔しいんだけど。
好きは好き。
言葉選びの甘さはあるかな、と思うけど、それは好みの問題かもしれないし、一概には言えない・・・よね。

ま、何はともあれ、台本が決まって演出家も決まって、キャストオーディションも目前だし、本番まではもう後ふた月を切ってる訳だし、これから遅れを取り戻すべくガンガン動いていくことでしょう。
問題は、どれだけ自分が積極的に関われるか、参加できるか。その一点。
ガンバレひきこもり。負けるなコミュニケーション能力不全。
ちなみに照明の手伝いをさせて貰う予定です。当日にも多分 何かしらやっている・・・と、いいな。
# by ling-mu.m | 2005-10-11 18:03 | 芝居/舞台
ヤツアタリをヒトリゴチル
そりゃ予想済みですけど。
当たる訳なんかないと思ってましたけど。
当たったら そりゃー奇跡ですよ。狂喜乱舞ですよ。
でも残念ながら踊れずですよ。

くっそー・・・。
ぴあの馬鹿。プレリザーブでホントに手に入れたいチケット買えた試し殆どねぇぞ。

どうにかして一般発売日までに手に入れたい。
そりゃ勿論 発売当日に電話も辞さない意気込みですけど。バイトも休みにしましたけど。
でもなー・・・だって無理じゃね? 正直、無理じゃね?
いや、頑張りますけどね?

これさえ観れれば、今年の12月は怖くないんですよ。
赤と緑と電飾に彩られたとて、耐えられる気がするんですよ。
某アメリカネズミテーマパークのCMも、穏やかに見れると思うんですよ。
金沢にすごすご逃げるような真似もしなくて済む筈なんですよ。

いや まぁ、そういう人様に関係がない動機は置いといて。

純粋に、単純に、アタシは野田秀樹の芝居をナマで観てみたいんだ。
夢の遊眠社の舞台が観られなかったことが、もう本当に悔やまれるんだ。
その歴史を、良いところも悪いところも全部、アタシはこの目で見たかった。

という訳で、同志の方がいらっしゃいましたらば、頑張りましょうね。
是非是非 ナマで観ましょうね。
「贋作・罪と罰」。

次はイープラスの結果待ちだなぁ。

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今月のWOWOW目玉は「キレイ」ですかね。なかなか評判良かったですね鈴木蘭々。
酒井若菜 降板でわりかし興味なくしてたんだけど、折角やるなら見逃さないようにせねば。
岡本健一も出てますし。クドカンと阿部サダヲも出てますし。
クドカンと言えば、来年春に新感線と組みますね。「メタルマクベス」。内野聖陽に森山未來に北村有起哉ですよ。春のミーハー祭を決行せねば。
そしてシェイクスピアと言えば、高橋洋が! 「間違いの喜劇」やるって! 吉田鋼太郎も出るって! 埼玉くんだりまで、また行ってしまおうか。
「天保十二年のシェイクスピア」は、12月にWOWOW放映するみたいですね。DVD買わなくて済むかな。正面から、観たかったなぁ。
取り敢えず、目の前の楽しみはペンギンプルペイルパイルズです。
あ、その前に片桐仁だ。ダブリンだ。
# by ling-mu.m | 2005-10-07 00:07 | 芝居/舞台
吉原御免状
秋のミーハー祭、第二弾。
渋谷は青山劇場にて、SHINKANSEN☆PRODUCE いのうえ歌舞伎「吉原御免状」を観て来ました。
円形の方は何度か足を運びましたが、青山劇場の方は初。
そして新感線を(プロデュース公演だけども)ナマで観るのも初めてでございます。
「髑髏城の七人」はDVDで観たんですよ、事前学習として。

天保十二年に引き続き、ミーハー祭に相応しい有名人 勢ぞろいの舞台。
堤 真一、松雪 泰子、おひょいさん、梶原 善、京野ことみ、古田 新太、など。アタシが知ってる役者さんはそれぐらいかな。まだまだ勉強不足です。

上質な、大人のためのエンターテイメント。
でしたね、やはり。
派手な音楽、舞台装置、音響、照明、そして殺陣。
映画みたい。
こりゃ異端視されてた筈だわ、と、この目で見て改めて思いました。

歌も踊りもなくて、多分そのせいだと思うんだけど、第一部が終わった時点では飽きて、もう観に来ないかなと思ってました。歌と踊りに、我知らず期待していたのでしょう。天保の影響もあるかな。
でも、第二部でハナシが心揺さぶられる展開になったのもあって、すっかり魅了されて、終わった時には大満足してました。
思うに・・・第二部で梶原 善が活躍したからではなかろうか。
もうねぇ・・・大好きですよ善ちゃん。大好き。かっこいー。
美味しい役どころだった、というのも大きかったのかもしれない。主人公・松永 誠一郎(堤)を助太刀する領主。
平和な日々に安寧したくなくて、いっちょ死に花 咲かかせてやろうかぁ! て、心意気。
かっこいい。かっこいい。

話の筋も、分かりやすくて かつ面白くて、単純なのにきちんと人の心が描かれているところがお見事、と思った。
原作は隆 慶一郎の同名小説。それを中島かずきが脚色する形で、どれほど原作が生かされているか分からないけれど、非常にうまく、心理描写がなされているなと。

(以下フライヤーより引用)
肥後、熊本の奥深い山中、あの剣豪、宮本武蔵に育てられた若武者がいる。
名を松永誠一郎(堤)。亡き師、武蔵の遺言に従い山を下り、江戸最大の遊郭・吉原へと赴くは、時に明暦三年八月十四日。
「ここは極楽だよ、そして地獄かな―――」
謎の老人・幻斎(藤村 俊二)が、謎の言葉で誠一郎を迎えた、その時。
吉原を不穏な殺気が取り巻いた。
次々と襲いかかる秘密組織「裏柳生」の総帥・柳生 義仙(古田)。それに抗し、誠一郎の助太刀を買って出る旗本・水野十郎左衛門(梶原)。
血で血を洗う暗闘の中、戦いの理由を問う誠一郎に、義仙が言う。
「吉原御免状はどこだ?」
将軍家剣術指南役、天下の柳生が何故吉原を襲うのか。義仙が狙う「吉原御免状」とは何か。
吉原誕生に隠された大いなる謎を追ううちに、誠一郎は己自身の出生の秘密を知ることになる―――そして吉原きっての美しき名太夫、勝山(松雪)と高尾(京野)。ふたつの切ない恋心が、誠一郎に寄せる熱い情けの奥底に、揺れるおんなたちの哀しみとは・・・・・・。

ていうストーリィ。
多分 原作も面白い筈。読んでみようと思う。
色々と思うことはあったんだけど引用して打ったら疲れてしまった・・・ので、後日 追記するやも。しないやも。

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眠れないついでに、追記。
おひょいさんは、調子が悪かったのか、4・5回 噛んでました。心なしか具合が悪そうに見えたのだが・・・役作りならいいなぁ。もう結構な年だし、長丁場だし、無理はせんで欲しい。
ご隠居っぷりは見事でした。穏やかな物腰がダンディーで。

古田演じる義仙の、執拗なまでの御免状への執念が、何と言うか、凄く、説得力があった。
何故 彼が御免状を奪おうとしているかと言うと、御免状を出したのは徳川家康。その父を憎み嫌っていた男が、三代将軍・秀忠。御免状奪回は秀忠の願いで、何でかと言えば家康が許したものを幕府公儀にしているのが気に食わないから。そして、吉原が山の民(商人・職人・芸能者など、自由に国を行き来し幕府体制に組み込まれていない者たち)の隠れ蓑としての役割を果していることも、我慢がならない。要は、全て自分の物に、自分の思うがままにしたいという秀忠思いに、秀忠死去した後も尚、義仙は捉えられているのです。
そしてそんな義仙を愚かだと言い、平和に事を収めることを願う、柳生総帥であり義仙の兄である宗冬。
その辺りの心理描写が見事で・・・何とも上手く言えなくて自分の表現力の無さにほとほと困ってしまうんですが。
何て言うか、吉原御免状奪回の理由が、「出来事」ではなく「人の気持ち」であり、それが明確に、弱まることなくしっかりと表されているのが、凄いと思って。
舞台は小説と違って、台詞でしか人の気持ちを表せないじゃないですか(行動とか表情とか、そういうのもあるけど、いわゆるモノローグやト書きが無理、て言う意味で)。
それを、本当に見事に、「見せてる」ことに、感服したのです。
うう、上手く言えん・・・。
義仙の執着心を見せた、それは古田氏の力でもあるのか。

あと、私は強くて格好いい女にめっぽう弱いので、当然のように勝山太夫の死に様には心打たれたのでした。男前だー。
# by ling-mu.m | 2005-10-05 01:43 | 芝居/舞台
隣の芝生は青いってゆう
その青さを認めるか、
青いのなんて錯覚だと言い張るか。
本当に青いのもあるし本当は青くないのもある、
それが正解なんだろうけど全部 青く見えるのが現状。
妬んで嫉んで羨んで、
悔しいって泣き寝入り。

精神的不衛生な環境を作ってるのは自分です。
ウツでいるのは嫌だけどどっかで安心してるのも本当。
元気なくして俯いて毒吐いて腐ってる、
そういう状態に安定を見出しつつある危険。

嫌なもの全部から逃げて、
それじゃ駄目だって言うのは簡単。
言うだけなら簡単。
でも心底から思ってないから、
同じことの繰り返し。

所詮 自分はこの程度だと、
誰かに言われる前に言ってしまえばそれ以上 責められることはない。
そんなことは先刻承知だと言ってしまえばいい話。

誰にも頼らないで生きていくためには、
まずは自分で自分を諦めない。
見くびらない。甘やかさない。
そういうことが必要です。

クソでもカスでも、
取替え不可能な限り、
この身で生きてかなくちゃいけない。

本当はねぇ、
アタシだって、
青い芝生をはやしたい。
ピカピカの、
雨にも風にも負けない強い芝生を、
はやしたいんだよう。
そうして、
誰かに、
妬まれたいよ。
悔しいって、
吠え面をかかせたいよ。
別に大層なことじゃなくて、
ほんの些細なことでいいから、
アタシがアタシの身ひとつで築いたものを、
アタシ自身の歴史の欠片を、
羨ましいって言われたい。

他人を羨ましがるのは、
本当はもう まっぴらなのです。

それでも隣の芝生はどれも、
今日もキレイに青いのです。

青い芝生を手に入れるだけの、
努力も苦労もしてないって、
神様に言われてる気がして、
そんなことはないと言いたいけど、
言い張れるだけの自信もなくて、
ということは、
きっとそんなことは言えなくて、
結局はそういうことなんです。

そうは思えど、
納得できるほど物分りは良くないし、
がむしゃらにまず頑張って、
取り敢えず何かに対して真剣になって、
自信がどうとか長所がどうとか、
そういうことを言うのはそれからだって、
そりゃそうだろと思うけど、
頭でっかちな体質は、
そう簡単にどうにかなるものでもなくて、
今日もまた、
昨日と同じことを考えて、
ぐるぐると考えて、
考えるだけで日が暮れて、
何も持たないアタシの歴史が作られる。

本当はね、
本当はね、
本当はね、

言い訳してもいいですか。
泣き言 言ってもいいですか。
頼って甘えていいですか。
そういうことは、
しないようにしないようにと思ってきたけど、
だって みっともないし、
かっこわるいし、
けむたがられたら悲しいし、
まぁ、
散々してるんだけどね。
既に充分、
みっともないかっこわるい姿を、
晒してきてはいるんですけど、
でもねぇ、
だって、
だってねぇ。

自分の、
黒い部分を、
他人に見せるっていうのは、
怖いことだね。
でも、
自分だけで抱えてるのは、
抱え続けるチカラを、
アタシは持っていると思ってたけど、
誰もが持っているものなのかもしれないけど、
何か結構、
辛いみたいだ。
それはアタシが、
格別 弱いっていうことかもしれなくて、
それを認めることは、
ちょっとかなり屈辱的というか、
だって他人以上に弱い人間には、
なりたくはないじゃないか。
何にも持ってないうえに、
そのうえ他人より弱いなんて、
そんなことは、
許されざる事態じゃないか。
でもねぇ、
どうにも、
強くなろうとすることに、
強く在ろうとすることに、
行き詰ってしまったねぇ、
この人。





ていうか、
もしか、
強いことと、
強がりを言うことを、
はき違えていたのかな?
しかも そのうえ、
強がりで言ってたことは、
強がりには捉えられていないのかしら?
アタシはとっくに、
弱い人?
# by ling-mu.m | 2005-10-05 00:59 | 思慮