好きな詩を、新しい手帖に書き写した。
去年の手帖にも書いてあって、今年はやめとこうかなと思ったんだけど、さっきふと書きたくなって。 読み直して、今の時点でこれは好きだ、と思うものを写したから、ちょっと数は減ったけど。 好きな詩人は、宮沢賢治です。手帖には、「雨にも負けず」「雲の信号」「サキノハカといふ黒い花といつしょに」を写した。これから増やしていきたいと思ってます。 去年のには「小岩井農場 パート9」の一部も書いてあったのだけど、抜粋の仕方が難しいなと思って、今年はやめにしたのだよ。でもそのうちまた書くかも。好きは好きだから。 「雨にも負けず」は、最後のところ、 日照りのときは涙を流し 寒さの夏はオロオロ歩き みんなにデクノボーと呼ばれ ほめられもせず 苦にもされず そういうものに わたしはなりたい これが、アタシの理想かもしれないなぁと思う。でも、違うかもしれないなぁとも思う。 でも、最初の部分、 欲はなく 決して怒らず いつも静かに笑っている これは、まぎれもなく究極の理想像だよなぁ。 「雲の信号」は、えらく気持ちのいい詩なのですよ。 あゝ いゝな せいせいするな 風が吹くし 農具はぴかぴかひかつてゐるし 山はぼんやり 岩頸だって 岩礁だって みんな時間のないころのゆめをみてゐるのだ そのとき 雲の信号は もう青白い春の 禁欲の空高く掲げられてゐた 山はぼんやり きつと四本杉には 今夜は雁もおりてくる せいせいすること、最近ないな。あるといいな。 カール・ブッセの「山のあなた」も、出会った時から好きな詩のひとつ。 上田敏が、このうえなく美しい日本語で訳してくれたからでしょう。 山のあなたの空遠く 幸(さいわい)住むと人の言う ああ、われ人と尋(と)めゆきて 涙さしぐみ、帰りきぬ 山のあなたの尚遠く 幸住むと人の言う 山の向こう側に幸せはあるんだって。 行ってみたけど見つからなかった、悲しい気持ちで帰ってきた。 山のもっともっと向こう側に幸せはあるんだって。 そんなのいつか手に入れられるのかな。 ・・・でもねぇ、虚しさばかりではないと思うんだ。だって幸せは、遠くとは言え、あるんだもの。 いつになるかは分からないけど、追いかけてみて、その辿りつくまでのみちゆきが、大事なんじゃないかなぁ。 井伏鱒二の訳した、干武陵の「勧酒」も、気持ちのいい日本語。 この杯を受けてくれ どうぞ なみなみ注がしておくれ 花に嵐のたとえもあるぞ さよならだけが人生だ 出会いの数だけ別れがあって、とは、ミスチルも歌っておりますが。 それでも出会いたいじゃない。別れるための出会いじゃないもの。 別れは必然かもしれないけど、それはその時が来たら、こうして酒でも飲みながら思う存分、別れを惜しんで泣けばいいのよ。その時でいいんだ。別れを怖がってちゃ駄目だ。
by ling-mu.m
| 2005-03-12 02:00
| 活字/漫画
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