カテゴリ:映画( 23 )
ヴァイブレータ
b0026230_1233195.jpg好き:★★★★☆

コンビニで出会ったトラック運転手の男・岡部。
一夜をともにした朝、玲は一度トラックから降りるものの、「道連れにして」とまた乗り込んだ。
東京から新潟まで、そしてまた東京へ。
72時間の、ふたりの「航海」の物語。



廣木隆一監督作品。
寺島しのぶがものごっつうまい。なんて雰囲気のある女性だろう。
大森南朋は、くりぃむしちゅーの上田に見えて仕方なかった・・・。いや、うまいし格好いいいんだけどね? 似てるんだもん。


色んなことがあったせいで、きっと玲はとても傷ついてる大人なんだと思った。トラウマをいっぱい抱えてる。
それは今この時代のこの国に生きる人たちに総じて当てはまることなんだと思う。
で、それは何でかって言うと、やっぱり人間が弱くなったということが大きいのだろうけど、でも、生きにくい世界になってる、ということも本当なんだと思う。
自分を傷つけるもの、自分を攻撃してくるものが多すぎるんだと。

不眠、幻聴、過食、嘔吐、自傷。
そういうことを日常として生きている玲。そういうもんだと諦めてて、でもどこかで、そういうものから解放されたがってた。
傷ついておかしくなっている玲を、イタい、弱い奴だと罵って見限ることは簡単。
優しくて暖かくて穏やかで。世界はそういうものであって欲しいのに、そうもいかない辛さ。

でも、生きていく辛さだけを伝える映画ではないです。
いつか、癒される時は来る。
例えそれが刹那であっても、その時、優しくされて、嬉しくなった時には、ちょっとだけ頑張って生きてみる気になれる。

ずっとそんな風であれたら、一番いいのだけど。なかなか、うまくいかないよね。

岡部の運転するトラックの助手席に乗って、他愛もない、どうしようもない話をしている時の玲の表情が、本当にいいので。観て欲しいです。
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by ling-mu.m | 2004-10-10 00:40 | 映画
花とアリス
b0026230_221436100.jpg好き:★★★★☆

好きな人が頭をぶつけるところを目撃した花。
とっさに、「先輩はアタシに告白したことを忘れてる」と嘘をつく。
親友のアリスは元カノという設定。
疑心暗鬼ながらも、ふたりの嘘にだまされ、翻弄される先輩。
三人の、恋と友情と小さな夢が行き着く先が、穏やかな目線で描かれていく。

岩井俊二監督作品。
蒼井優が可愛すぎます。「リリィ・シュシュのすべて」でその可愛さに気づいて以来、虜です。
杏ちゃんが誰かに似てるなーと思いながら見てて、誰だろう誰だろうとずっと考えていて、終盤あたりで「あ、ベッキーだ」と気付いた。口調とか、時々ね。

花の大胆かつ突拍子もない行動に驚きつつ、そんなことをしてしまう気持ちは凄く分かってしまう。切なくなりますね。
嘘だと言い出すタイミングを見失って、どんどん突っ走ってしまう。
でも、その突っ走りぶりに迷いがなくて、とてもキモチイイのです。悪びれないというか。
先輩に、今までの話は全部嘘だと、だから遠慮なくアリスと付き合えと、そう泣きながら告白したのも、罪悪感からではなく、ただただ先輩が手に入らなかったから悲しい、という気持ちからだろうと思って。そう伝わってきて。
罪悪感が無いとは言い切れないだろうけど、あるとしたらアリスに対してだろう。大切で大好きな友達を傷つけたことへの反省と後悔。
風ちゃんの、「ケンカは駄目だよー」の台詞が、言われる度 胸に来ました。

アリスの、何かもう色々 諦めてはいるんだけど、でもやっぱりどうにもうまくいかない日々がなんだかなー。という雰囲気が、とても好きです。しゃぶしゃぶつつきながらおかんに説教するところとか。
何か吹っ切れたように、オーディションで「自分を見せる」ことに積極的になったアリス。
あのバレェのシーンで泣きました、私は。とても穏やかな気持ちで。
例えこのオーディションに落ちても、これがきっかけになればいいと。
何だかうまく行かない日々に差し込んだ光であればいいと。
泣かないで、歩いて行って欲しいと思って。
まぁ、結果的には受かったんだけど。
でも、あれはホントにパンチラにやられただけじゃないのか。
カメラマン以外の人は全員、感動してたんだろうけど。


先輩はアリスを選ぶんだと思ってた。もしあそこで花が嘘でした、と言わなければ、ずっと騙されているつもりだったんだろうか。それとも、花の告白に心動かされたのかな。
どちらにしろ、花の必死さに負けたんだろうな。
ふたりがずっと一緒にいてくれたらいい。
花と先輩。花とアリス。
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by ling-mu.m | 2004-10-09 16:25 | 映画
ディスタンス
b0026230_1291492.jpg宗教団体「心理の箱舟」が、大量殺人を行い、加害者グループも死んだ事件から三年。
加害者たちの遺族は、命日に集まって家族が葬られた湖に行く。
その帰り道、途中まで乗ってきた車を盗まれ立ち往生する彼らの元に、事件直前に裏切って逃げた教団員が現れる。
彼らは、事件を起こす前に家族が過ごした小屋で、一夜を明かすことになる。

是枝裕和監督作品。
二回目の鑑賞になります。レポートの参考資料にするために借りてきまして。
思えば、初めて観たときはARATAが目的で、是枝監督の名前なんてこれっぽっちも意識してなかった。今では時の人ですね。

脚本なしの即興演技に、一切のBGMなし、というつくりは、さほど嫌いではありません。
映画っていう、どうしたって全部あるいはある程度が虚構となってしまうジャンルで、何処までリアリティーを追求すべきか、は難しい問題だけど。
こういうリアルの求め方も面白いと思う。

寺島進が秀逸です。
奥さんを勧誘した後輩を罵倒する場面。
人間、怒り心頭すると、まともに理論で話をすることなんてできないんだよな、と。
繰り返される「早く帰れよお前」の言葉に納得させられる。
さっさと再婚して、子供も生まれて、湖では一瞬しか手を合わさない。
それでも、命日には皆と一緒に山を登るのは、何故なんだろう。小屋の中を執拗に調べまわるのは、奥さんと後輩の断片を手に入れるためだったんだろうか。多分、彼は奥さんの浮気を信じて疑っていない。その辺のイタさもまた、よく分かる。

愛しているのに理解ができない。
愛していたから理解がしたい。
みんな、そういう心理なのかな。
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by ling-mu.m | 2004-10-03 23:24 | 映画