カテゴリ:活字/漫画( 44 )
最近の白泉社はどうなのかしら。
似通ったもんばっか。
平凡女子とイケメン男子(複数)の格差恋愛漫画。
もう飽きたわ!
なんか斬新な…斬新な漫画はないかのう。
新しい作家さん発掘とかとんとしてない。する気になれん。

白泉社の過去の栄光『ぼくの地球を守って』(日渡早紀)は世代を超えて後世に読み継がれるべき素晴らしい大作ですが、その次世代編をブックオフで立ち読みしてきた。
雑誌掲載時にちらと見た記憶はあるが、きちんと読んだのは初めてだ。

『ぼくタマ』(この略し方は斬新だよなぁ)主人公であるところの輪くんとありすの子ども・蓮が主人公なのだが、もう正直なところ蓮とかチカコとか子どもの成長はどぉっでもよくて、ただただ輪くんの幸せを願ってしまう、そんな読者は多いはず。
ヤンチャする紫苑の姿が嬉し涙で見えないよ……みたいな。
それぐらいの感情移入は簡単にとーんとしてしまうなぁ、この漫画に関しては。
いや、ホント。

子どもたちよりも他のみんなの「その後」を望む声は多いだろうに、それは敢えて避けられているのかな?
まぁ、もともとの読者しか対象にしていないことになるし…それと、高校生時代の彼らの密度は高すぎて、あまりに濃すぎて、今の彼らの生活を語ってもそれほど面白いものにならない、ていう危険性は充分にあるのかもしれないね。
まぁ、単に作者が描きたいもの描いてるだけ、なのかもしんないけど。

デッサン崩れに崩れて哀れだけど、消えずに漫画家つづけられてんだから、凄いわ。
b0026230_2356345.jpgb0026230_235658100.jpg
[PR]
by ling-mu.m | 2009-02-08 00:02 | 活字/漫画
サウンドトラック
古川日出男『サウンドトラック』、読み終わりました。さっき。

ふー……。
心中穏やかでなし、という訳でも、超興奮状態、という訳でもなく、しかし、確かにドキドキと、微かにしていて、うーん。あまり覚えのない読了感。

とにもかくにも、読み終わりました。
いやぁ、凄かった。壮絶。凄絶。
掌サイズのこの小さなモノから、何でこれほどの熱量を与えるものが湧き出てくるのかと。
考えると、不思議でならない。

疾駆する小説だ、と思いながら読んでた。文章が走ってて、言葉が駆け抜けていく。
圧倒的なスピード感。
そしたら、あとがきで著者自身が、これは「疾走小説」だ、と言っていて、嬉しくなった。共有できている、この人の思いを受け止められている、と思って、嬉しくなった。
しかし、何がそう思わせるんだろう? 文章のリズムか? 選らばれる言葉か?
場面自体が、スピード感あふれてる、というのは確かにそうなんだけども、それだけじゃない緩急の妙があると思う。そう、走りっぱなしではなく。でも、気づくと走ってる。走らされてる、文字を追う目が。言葉を読む気持ちが。


現代の日本の、東京の物語。
今ここにある本当の現実とは別の、違う道を辿った姿を描く。
発売当初にとっては近未来の、アタシが読んだ今現在より少し先の、でも地続きなすぐそこの未来。
ヒートアイランド現象によって熱帯と化し、スコールが降りそそぐ。外国人が急増し、彼らに対する排斥も激化していた。
(文庫版・上巻の裏表紙より抜粋)
そういう東京の、進む何年間のなかで、とてもとてもとてもピュアーに生きる人たちの物語。

偶然にも同じ嵐の夜に、同じ無人島に流れ着いたトウタ(男の子、そのとき6歳)とヒツジコ(女の子、そのとき4歳半)。
二人の、無人島での生活と、彼らが「外界」に再び出会うまで、というような話かと思っていたら、そんな、甘っちょろいものじゃなかった。全然なかった。

彼らは割とすぐに外界と再会する(私は実は、まだ文字も読むことのできない彼らが、どうやってそれ以上の言語を獲得するのか、それが書いてあるかと期待してた。残念ながら見当違いだった。そこに関しては触れられない)。
そして新しい生活の中で、自我を芽生えさせて、その後の生き方を固めていく。とても若者らしく、とても過激なそれを。
彼らは世界と闘争する。彼らにとっての敵である、復讐すべき世界と。

ヒツジコはダンスを踊ることになるのだけど、その描写が見たこともないもので、触れたことのない表現でなされていて、でも確かに、明確に映像は浮かばないまでも読書を補うだけの想像力は喚起させて、させられて、舌を巻いた。
なんだこれ。すげぇ。
この人、自分で「見えて」て書いてるのかな? その見えてるものに、書いてる言葉は追いついてるのかな? もしくは追い越しちゃってたりしないのかな? ちゃんと、ぴったり寄り添ってんのかな。
本人に聞いてみたい。

トウタとヒツジコと、それからレニという子どもが主要人物で物語の柱としているのだけど、彼らのピュアさが、ピュアだ、と直接の表現では書かれていないけど、滲み出ていて、明らかに「そういう」子たちで、それに打たれた。
カツーンと打たれました。ピュアーすぎる、その闘いぶりに。
私は君たちが大好きだ、と思う。
その中に抱える昏い黒いものを、押し込めて、いや違うな、存分に解放させながら、撒き散らしながら、まっすぐに突き進めばいい。
闘い続けろ。そうして君たちが不幸せにはならないのだったら。
アタシはそれに追随するよ。


文庫本で読んだのだけど、上下巻に分けたのは、そこまでの売れが見込めなかったからなのかしら(単行本は一冊)。実際、売れてないのかなぁ、そんなに。発売当初の話題性とか、どんな感じだったのか。『ベルカ、…』は結構いろんなところで評価されてるのを見た気がするけど。

これは売れて然るべきだ。然るべきですよ。絶対。だって凄く、飛び抜けてるもの。
……でも、amazonのレビューでは2つ星ついてるのもあって、うーん そうかぁ…。面白くない人も、いるんだねぇ。
アタシが東野やハルキを嫌いなのと同じことか。それを好きな人もいて、嫌いな人もいて。
不思議で、面白いことだねぇ。
b0026230_23591282.jpgb0026230_23594141.jpg
[PR]
by ling-mu.m | 2009-01-29 00:22 | 活字/漫画
ベルカ、吠えないのか?
妹さんの彼氏が帰ってくれない…。
どうぶつの森やりたいし、『キイナ』も見たかったのに…。
(今、変換して気づいたけど、「キイナ」は「奇異な」なのかな)
アタシはレッドカーペット嫌いなんだよ!
うちは居間しかあったかくないんだよ!
外で遊べバカ!

**********

『銭ゲバ』原作本をちょっとだけ立ち読みしたのだけど、舞台は静岡じゃなくて長野だった!
Wikipediaに静岡って書いてあったの丸呑みしちゃった! 危険!
で、だいぶ変えて肉付けしてんだな、ていうことが分かりました。

**********

本題。
古川日出男『ベルカ、吠えないのか?』を読了。
これは時間をつくって一気に読んでしまうのがいいなぁ、と思いました。
結構、忘れると混乱する。

イヌの、軍用犬の話です。
二十世紀は戦争の時代、そして軍用犬の時代だと語られます。

アメリカとソ連(ロシア)と中国と。そして日本と。
その中で翻弄される、ある血を受け継ぐイヌたちの物語。
イヌ紀元ゼロ年は、スプートニク2号にイヌが、ライカが乗ったその時だと語る。
そして物語はそこから、いや、実はそれ以前から、始まる。始まっている。

現在と、現在に連なるイヌの系図の過去と。
ふたつが順番に明かされながら、やがて現在と過去が邂逅する。
その場面には戦慄が走る。

日本が軍用犬を育て使う力に長けていた、なんて知りませんでした。
というか、軍用犬という存在に注目したこともなかった。
小説が、どこまで本当か分からないけれど、二十世紀の戦争においては、非常に重要な戦闘集団だったようです。


いやぁ、静かに興奮しながら読みました。
ページめくる手が止まらん止まらん。
この人の持ち味であろうスピード感が、体感できる。
そして不思議と読みやすいんだなぁ。

しかし、その持ち味を生かすためなのか、ここはもうちょっと丁寧に語られたい、と思うところまでもズンズンと進んでしまって、それが、残念。
「持ち味」として納得できる域をわずかに超えて、小さくても確かな不満が募る。
ここ、ここをもっと語って欲しいんじゃないですか! ていうところが、いくつか。
残念だなぁ…。
これは、ミスじゃないかな、と思うんだ。
もっと量が多くても、分厚くても、読むもんなぁ。読ませる力があるのに。
もったいないなぁ、と思いました。

でも、面白かった! すごく!


で、さぁ次は『聖家族』っと思ってたのに、最寄りの本屋に置いてませんで…。
帰りの電車で読むものがなかったので、同じく古川日出男『サウンドトラック』上下巻を買いました。
これも楽しみになるオープニングで…。むふ。

b0026230_615419.jpg
[PR]
by ling-mu.m | 2009-01-21 23:04 | 活字/漫画
モダンタイムス
伊坂幸太郎、好きです。
文庫になってから読むのでリアルタイムでは追えてなくて、でも、先日『魔王』を読んでしまったら読むものがなくなってしまった。
『ゴールデンスランバー』文庫化はまだ先だろうし…。
買おうかどうしようかな、と思っていたところ、新刊『モダンタイムス』が『魔王』の続編だということを知り、そっちを買いました。

『魔王』は、読み終えた後も結構 尾を引く作品で、えーえー、何でかな。何でそういう終わり方なのかなっ? て、思わされ続けました。割と苦しい読後感だった。
思えば、それは続編を読ませるのにとても適した終わり方だとも言え、計算だとしたら、凄いというか打算的というか…みたいな、ちょっと歪んだ感想を抱いてしまいますが。


結論から言うと、『モダンタイムス』を読むことによって、『魔王』読後の苦しさ、気持ち悪さが拭えることはありませんでした。

ざくざく読める、という代物ではなく、少しずつ少しずつ読み進めました。
もともと『週刊モーニング』かなんか、漫画雑誌に掲載せれていたものなので、そういう読み方がちょうどいいんじゃないかな、とも思った。

「検索から、監視が始まる」というコピーが、とてもよく作品を表しているな、と思います。
ある言葉(の組み合わせ)を検索したばっかりに、酷い目に遭うことになる主人公とその周辺、真実を知るために危険を冒して動き続ける彼らの、数日間の戦いの物語。
……とでも、言いましょうか。
『魔王』から50年後の世界、今より少しだけ未来の話。

何とも、スッキリとしない、スッキリさせてやるもんか! とでも言いたそうな、終わり方で。
結局、何にも解決しないし、何にも変わらない。
そういう風に見える風景が横たわるだけの結末は、納得しがたい。

何でこんなもの、こんなこと、書いちゃうんだ。
こんな、全部 諦めちゃえ、みたいなこと、書いちゃうんだ。
悔しいなぁ。

大きなものに立ち向かって、作者自身が、結局 勝てなかった、駄目だった、て言ってるみたいに聞こえて、悔しいです。

次回作がどうなるのか、気になる。
この作家の行く末が、気になります。

**********

新ドラマ『銭ゲバ』の第一回を、何とはなしに見てみた。電話しながら、とかだから全部ちゃんと見た訳ではないが。
原作の漫画はだいぶ古いようで、もう30年前とか、そんな。
ドラマ化にあたってどれくらい改訂がなされているのか、原作を読んでいないので分からないけど、未曾有の大不況で派遣切り、社員削減が横行、格差は拡大するばかり…ていう今、共感を得やすい話かもしんない。
企画した人は、時機を見ていたのですかね。だとしたらうまいな、と思います。

しかし、これ舞台は静岡県だそうで、「ずら」て方言つかってるのだけど(山梨の方かと思っていたら静岡でも使う地域があるのですね)、他の微妙なイントネーションも、どうせなら拘ってくれりゃ嬉しいのにな、て、静岡出身者としては思いました。
まぁごく個人的な意見。ていうか気持ち。

**********

『モダンタイムス』読後、今は古川日出男の『ベルカ、吠えないのか?』を読んでます。
『聖家族』を読もうと決めたのだけど、それが古川作品で初めて、ていうのもちょっと危険なんじゃない? と思いまして、単行本が出た当初から気になっていた(何年前だよ)上記の本を、文庫で買いまして。
いやいや、面白い。読みやすいし、通勤電車に乗るのが楽しみな読書。

思えば、古川日出男の対談イベントには二度も参加しているのに、いまだ読んだことがないってどうなんだ。
サイン本も持っているって言うのに…(ていうか、それをまず読めばよかった)。
いしいしんじ氏との対談イベントで、両著者の本を買わなければいけなかったのでした。
そして、そのサイン会の時、いしい氏より古川氏の方がよっぽど気さくで「いい人」だったなぁ…。

b0026230_6162492.jpgb0026230_6171825.jpg
[PR]
by ling-mu.m | 2009-01-17 22:43 | 活字/漫画
『幻夜』と『天地人』
友人に借りてた東野圭吾『幻夜』を、年をまたいで読了。
最っっ悪の読後感でした…。
もう、東野圭吾なんて、読まない…。

もともと東野は好きではないのだが、『白夜行』は、それでもまだ読めたし楽しめた。
でも同じパターンで2冊目となると、しかも結末があんなん、てなると、あー読まなきゃよかった! ていう怒りににも似た気持ち悪さばかりが残ります。

アタシは勧善懲悪が好きなんだなぁ。と、改めて思いました。
悪者がのさばってるのは、納得いかないんだ。アタシは。


***************************************


大河ドラマ『天地人』第一回を、途中からですが観ました。
『篤姫』は、あんだけ話題になってたにも関わらず一度も見ないで終わった訳ですが。
ザッピングしてたらやってたので、話のタネに、と思いましてね。

で、第一回はまだ幼少時代ってことで妻夫木その他の登場はナシだったんですが(阿部ちゃんはカッコヨカッタ。でもあの目はコドモ泣くわー)、最後にやった次回(今後)予告で主要キャストがパパパパッと見れて、うわー豪華じゃん、頑張るじゃん。と思いました。
小栗旬とか、長澤まさみ(嫌いだけど、まぁ「豪華キャスト」の中には含まれるのでしょうな)とか、小泉孝太郎に阿部寛もそうだし…あ、あと常盤貴子がヒロインなのですね! 素敵!

全然 知らなかった話の概要もその次回予告で理解ができたのだけど、それを知って、次のターゲットは腐女子ですかな? と、考えてしまった、そんなアタシが駄目ですか? へへへ。
いやー、でもマーケットとして確実に力を持ってることが判明した今、ピンポイントでそこを狙っていくことは充分 考えられる訳で…。
考え方にごってるかしら。

で、そういう印象を受けた後になってからなんだけども、上杉と直江の主従関係っつったら、それこそBLなんて言葉がまだない時代にその走りになった小説があるじゃないですか! と、思い当たりまして。
懐かしい思いに駆られました。結局 途中で飽きて読まなくなっちゃったけど。長いこと続いたシリーズでしたし…。

人物こそ違えど、その関係性ももちろん違うのだろうし、でも、上杉と直江と言えばあなた、あいつらしかおるまい…。と、考える、ちょっと年端のいった腐の人が、きっと今いっぱいいるんだ。
すごいなー。
ていうか景虎は実際にいた人だから、ちゃんとドラマにも出てくんだな。うーん、見る目が曲がる。
[PR]
by ling-mu.m | 2009-01-06 01:00 | 活字/漫画
萌える日本文学
『流星の絆』最終回は、残業のため間に合わず、人から録画を借りることにしました。
よって、ただ今お預け中。ちくしょう…。

--------------------

不健全な物語摂取を一旦やめようと、買ったまま読んでなかった本を引っ張り出してきた。
堀越英美・著『萌える日本文学』、幻冬舎より。1,575円。
もともと幻冬舎のサイトで連載してるコラムが面白くって、それで買ってみたのでした。

日本「文学」には、実は今で言う「萌え要素」がテンコモリだよ!! って教えてくれる本です。
古くは『古事記』から、新しきは『蹴りたい背中』まで。
古典とか純文学としてカテゴライズされているせいで敬遠されがちな作品を、片っ端から切り崩していく。そんな印象を受けました。

妹、姉、メイド、ツンデレ、眼鏡っ娘・文学少女、百合、つるぺた・ろりぷに、泣き、鬱展開、人外・ケモノ、お嬢様、小悪魔、女教師、シスター、女医、未亡人、義母、幼な妻、双子、スポーツ少女、海女、戦闘美少女、不良少女…という萌え属性別に作品を、該当の台詞や場面とともに紹介しています(お譲様から後ろは一章にまとめられていて、紹介作品はひとつかふたつ)。

まぁ、概ね面白かった。
アラを探そうと思えばいくらでも出来るし(なんせ専門家でもないですし)、文句のつけどころもいっぱいあるのだけども、まず「萌え」の定義からしてあやしかったりもするんだけど、でも、新しい発見も確かにあって、暇つぶしにはいいです。あと、作品をいっぱい知れるというのは、それだけでお得感がある。

へー、この大先生にそんな趣味がねっ! とか、もうただのエロ小説でしかないじゃないかっ! とか、驚きをちょいちょい拾いながら、読んでる間は楽しかった。

大学の授業で使うってんで買ったまま、課題箇所しか読まずに放置、ていう文庫本が何冊かあるんだけど、その中に紹介作品が収められていたりして、そんなキッカケで何だけど、改めて手に取ったりしています。
ちなみに、川端康成とか志賀直哉とかです。


装丁が安っぽくて、ハードカバー1,500円ならもうちょっと何とかして欲しかったな。と、個人的には思いました。

b0026230_1494650.jpg
[PR]
by ling-mu.m | 2008-12-21 01:14 | 活字/漫画
彼女について
よしもとばなな『彼女について』を、今しがた読了。
しばらく布団に突っ伏してめそめそしていたのだけど、PCも付けっ放しだし(夜通しの作業をさせているため。いつもはちゃんと落とすよ)、吐き出しとこう。と思ったので、それについて少し。


いしいしんじ が絶賛していたので、という理由で、普段まるで読まない作家の新作をハードカバーで、しかも正価で買う、なんてことをしました。
ばななは、いつか『キッチン』を読んで以来、とか、きっとそれぐらい読んでいない人です。

今回、読みながら、ああ結構 心地の良い文章を書く人なのだなぁ。と知りました。
それから、この作品に限ったことなのかそうでないのか、分からないけど、優しくて柔らかい世界の書き方をする人なんだなぁ。とも思いました。
その世界は、すごく居心地がよくて、気持ちよくて、何にも考えなくてもよくて、安心できる場所でした。

だからこそ、最後に、何でこの世界がそうであるのか、ということの種明かしをされて、その答えが悲しくて、しくしく泣きました。
彼女は明るい方へ向かって行くはずなのに、でもやっぱりその前途は悲しくて、泣きました。
もしかしたら、可哀想に思っていたのかもしれない。
だとしたら、それは的外れであるべきです。

読み終わって、ネタばれをしないように、と思いながら感想めいたことを書こうとすると、ひどく抽象的になる、そんなようなことを いしいさんも言っていて、ああ成程。と思いました。
これは読んで貰うしかないなぁと。
激しく薦められる、そういう類の本ではないけれど、これを読むことで救われる人がいるなら、この物語は生まれて然るべきだったなぁ、と思います。なんて、まるで自分が書いたもののような言い草になってしまうけれども。


読みながら、辛い思いをするところが いくつかあって、感慨にふけるというか、そういう感じになる箇所があったのだけど、果たして「今の自分じゃない自分」が読んだら、どういう風に受け止めているだろうか。と、読み終わってから考えました。
今の自分じゃないっていうのは、つまり、死ぬこととか生きることとか、その辺のことに対して、切実な実体験をしていない、という意味なんだけど。

過去は一本道で、たられば は許されなくて、今ここにある自分ただそれだけが実在でそうじゃないものは一切ありえないのだけど、でも、やっぱり考えてしまう。
こうしてめそめそ泣いている、ここで泣いてしまうアタシは、いなかったかもしれないのか。
それとも、どういう道をたどろうと、やっぱり同じように、反応していたのか。
ただ単純に、他意はなく、含みもなく、言葉通りの疑問が浮かびました。

そんな問いの答えは、神のみぞ知る、というヤツで、そもそも問いからして成立しないものなんだけども、ていうことも考えて、よいしょ、ってひと呼吸おいてから、一本道の先に今立っている自分、それだけがたったひとつの真実なんだなぁ。と実感するんだなぁ、と。思いました。
遠回りしているようだけれども。


『流星の絆』然り辻村深月の作品然り、そしてこの本も、きっといしいしんじの新作も例に漏れず、切なくなると分かりきっているものに寄って行ってしまう。最近の自分の傾向を、そう思います。
それは別に今に始まったことではなくて、きっとずっと性質として持っているのだろうけども、止まらずにそういうものばかり摂取し続けようとするのは、果たしてどうなのだろうか。
不健全ではなかろうか。

もっと、明るくて楽しくて馬鹿馬鹿しいものばかりを見ながら生きていくこともできるのになぁ、きっと。
頭ではそう分かるけど、まぁ、何だかんだ言って、好きだから、ていう、それに尽きてしまうのかもしれない。
泣くのも、傷つくのも、そうしてから改めて前を向くのも、切なさの向こう側にあるそういう諸々のことが、好きだから、止められないし、自分からどんどん行ってしまうのだろうなぁ。



そんな風なことを思った、読書でした。

b0026230_1512072.jpg
[PR]
by ling-mu.m | 2008-12-06 02:30 | 活字/漫画
子どもたちは夜と遊ぶ
カラダが本調子じゃないなー。と感じます。
ちっちゃいガタがいっぱい。
ちゃんとした食事をして、ちゃんとした睡眠をとって、それなりの運動をすればいいんだ。
分かっちゃいるんだ。
分かっちゃいるんだが…なぁ。

------------------------

長らく続いていた京極夏彦を読むぞ月間が何となく、フェードアウト気味に終了。
読んでる途中に人に貸してしまい、ずっと返ってこなくて催促して催促して催促して(そういうことが平気で出来る相手だった。そして全然 気に病まず借りっぱなしにする奴なのだよ)やっと返ってきた辻村深月『子どもたちは夜と遊ぶ』を読了。

この人のデビュー作『冷たい校舎の時は止まる』を読んでいた時と同じく、寝る前に読むと部屋の電気を消して寝らんなくなる現象ふたたび。
別に今回はそこまで怖くなかったんだけど・・・パブロフ?

救いようのない話だわ。
結末に至るまでの全部が、何かもう救いようがない。切なすぎる。
とことん救われない話なのに、でも最後は何だかキレイに終わらせてくれちゃって。
絶望させたまんまでは終わらせない。
そこが、この人の個性ではあるんだろうが。あるんだろうが、なぁ…。
(Wikipediaにも、アンハッピーエンドはほとんどないって書かれてるし)

ある意味、ハチクロミステリー版。人が死ぬハチクロ。みんな片思い。
あと、ちょっと色々、ずるい。
それ隠しとくのはナシだろ! ってのが、ちょいちょい。
もうちょい上手く隠してくれたら、あービックリ! 目からウロコ! お手上げ!
て、気持ちよく思えるのになー。
その辺、上手になって欲しいです。是非。期待してる。

乙一とかぶるな。て、ふと思った。
最近めっきり読んでないけど。

あと、すごくドーデモイイんだけど、高河ゆんの漫画に『子どもたちは夜の帝王』ってのがあったよなー。てこのタイトル(『子供たちは夜と遊ぶ』)思う度に思い出してて、でも検索に引っ掛かってこないからオカシイなーと思ってたら、『子供たちは夜の住人』でした。ニアミス。帝王は言い過ぎ。
『アーシアン』の続きって出てんのかしら。

b0026230_1533053.jpgb0026230_1535428.jpg
[PR]
by ling-mu.m | 2008-11-29 22:09 | 活字/漫画
ノルウェイの森
今更な読書シリーズ。あるいはアンチ村上春樹になる運動。

「海辺のカフカ」「カンガルー日和」に続くハルキ三度目の体験。
大代表作に着手した訳だが……何で世の中の人がみんな村上春樹にハマるのか、その辺がよく分からない。
そんなに優秀な作家にはどうも思えんのだが。
時代のせいかなぁ、とも思ったけど、同年代の人々も好きだ良いだ言ってますもんね。
普遍的なものがあるってことなんだろうけど、そんな飛び抜けて素晴らしいと言われる所以は何処にあるのか。
分からなすぎて、アンチを唱えることすら出来ない…。
純粋に、ただただ不思議です。


物語に関する感想はまた後日。
次のハルキは何を読むべきか、助言等ありましたら頂きたい。
[PR]
by ling-mu.m | 2007-02-16 00:24 | 活字/漫画
海がきこえる
阿部和重「シンセミア」→是枝裕和「小説ワンダフルライフ」→氷室冴子「海がきこえる」
どんどん軽いものに流れて行ってる・・・。

「海がきこえる」、久し振りに読みました。もう何度 読み返したか知れない。
そんなに特別、思い入れがあったり大好きだったりする訳ではないのです。
でも、時間を置くとふいに読みたくなる。
読むたびに、自分の中で各所の感じ方が変わってて、それが面白くて読み返してしまう。
その時の自分の状況、年齢だったり季節だったり心持ちだったり傍にいる人だったり周囲の環境だったり、そういうもので大分 左右される。
読書ってもともと そういうものかもしれないけど、この作品は読む度に「解きほぐれる」という感じが如実にして、手応えがあって、つまり色褪せることがないから好きだ。

書かれたのは90年代なので、勿論ところどころに違和感はある。
「ヒスる」とか「ワンパ」なんていう言葉遣いだったり、人物の服装だったり、物価だったり。
にしても、時代を感じるというほどには主張していないので、そんなに気になるものでもなく。

読み始めて最初、とりあえず里伽子に腹を立てるのは毎度毎度、変わらない。
なんちゅー自己中オンナだよコイツは。と、目くじらを立てるほどではないけど、はっきりと不愉快には思う。
そして、主人公・杜崎拓が彼女を受け入れ、彼女のワガママに寛容になっていくにつれ、自分の中でも溜飲が下がり、気付けば里伽子のキャラをよしとしてしまう。

高校生の頃はそれでも、やっぱり もっと彼女のことは嫌いだった気がする。
物語を通して確かに成長して、大人になり落ち着いていく彼女が可愛く思えるようになったのは、ひとえに自分が年を取ったからだ。多分。

「海がきこえる」というタイトルなのに、今まで作中での海の存在に全く、これっぽっちも気を配ったことがなかった。と、いうことに今回 初めて気付いた。
ちょっと愕然とする。
それくらい、シンプルにしなやかにかつ自然な情景として、海がつかわれているんだ。…という言い訳。
最後のシィンがこんなに印象的だったことは かつてない。
自室の窓から遠く輝く海を眺める森崎拓。
夜の中の、きらきらの水面。
ものすごく衝動的に、海に行きたくなってしまうラストだったのだな。という再発見。

気付けば、自分は杜崎拓や里伽子たちよりも、年上になってしまった。
津村知沙と同学年だ。
彼らが等身大に感じられる筈だよなぁ、そりゃ。

b0026230_213845.jpgb0026230_2133216.jpg
[PR]
by ling-mu.m | 2006-11-23 20:12 | 活字/漫画