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いま、会いにゆきます
b0026230_2173742.gif好き:★★★☆☆

妻が死んでまもなく1年。
残された夫と息子は、悲しみから立ち直りながら、穏やかに日々を送っていた。
また雨の季節になったら、きっと戻って来るから。
妻の言葉をどこかで信じながら待つある日、まるで約束を守るかのように現れた妻はしかし、全ての記憶を失っていた。
また訪れる別離に怯えながらも、彼らはまた、幸福な家族に戻ろうとしていく。




市川拓司・著。
流行りモノですね。読んだ理由はそれなりにあるんですが。

ひたすら恋愛小説でした。何となく予想と違ってた。
主人公・巧と妻・澪の恋物語。呆れるほどに純情な。
巧が結構なヘタレで、息子の佑司とのすごく駄目駄目な生活っぷりが愛しかった。
一生懸命やらなくても、最低限のことさえしていれば人間は生きていけるんだね。
どうにか生きていれば、それでいいんだね。そう思わせる生活。
二人のコミュニケーションはちゃんと取れているし、巧がヘタレなおかげで佑司もそれなりにしっかりした子供だし(でも、あくまでそれなり。『アイ・アム・サム』のルーシーとかぶるようなことは決してナシ。それがまたヨシ)。

澪が再び現れるまでに、巧が悲しみに沈んで立ち直れないという状態になくて良かった。
もしそんな風だったら、途中で読むのをやめていたと思う。
悲しみは風化するものだし、生きている人間は前に進まなきゃいけないんだから。
でも、澪が帰ってきたことで、次なる別離に怯えることで、巧の悲しみは大きくなっていく。
最愛の人を二度も失くすことに、覚悟なんかできる訳がない。
そう考えると、澪が戻ってきたことは、まるで巧と祐司に対する天罰のようだ。
(それは単なる偶然で、そして運命的な出来事だということが、からくりが明らかになるにつれ分かるのだけれど)

この物語の終わりが、ハッピィエンドだとは到底 思えない。
だって明日への希望が見えない。明るい光が見つけられない。
巧と佑司が幸せに暮らす保障がなされていない。それがあんまり酷すぎる。

でも世の人たちにとっては、「心温まるお話」のようで。
このギャップは何だ? アタシの心がぬくくならないのは何でだ?
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by ling-mu.m | 2004-11-14 21:50 | 活字/漫画
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