渋谷はパルコ劇場にて、パルコ+リコモーション プレゼンツ「開放弦」を観に行く。
パルコ劇場は大好きな劇場なので行けるだけで嬉しい。 それに加えて作・倉持裕なのが、また嬉しい。演出はG2。後藤ひろひと と組んだ舞台しか観たことがなかったので、笑いが抑えめの世界観は少し新鮮でした。 キャストは、大倉孝二・水野美紀・京野ことみ・丸山智巳・伊藤正之・犬山イヌコ・河原雅彦。 なかなか豪華です。 上手に木造の古い一軒家、下手に積み上げられた土嚢と雲が浮かぶ青空のスクリーン。 舞台は農家。米作りを生業としている、東京には程近いだろう田舎。 仕事の傍ら、バンド活動をする遠山(丸山)・門田(大倉)・依代(京野)。遠山と門田は農家、依代は町役場の受付。かつて依代と遠山は付き合っていたが、遠山が、害虫のみならず稲まで食べつくす種類の鴨を繁殖させ、近隣の農家を壊滅的な状態に追いやり しかも莫大な借金を抱えた過去から、別れてしまっている。 依代はヨリを戻したがっており、しかし遠山は前触れもなく恵子(水野)と結婚してしまう。 不自然な二人の関係に依代は疑惑を持ち、事情を知る門田はイライラと二人を見守り続ける。 ところで彼らが結成するバンドの曲がインターネット配信でバカ売れし、CM曲にも起用される。 しかし、そんな折に遠山が車に轢かれ、右手が動かなくなるという事故が起こる。 事故を起こしたのはどちらも漫画家の進藤夫妻(河原・犬山)で、妻の素江は売れっ子だが夫の進藤は最後の連載が打ち切られたばかり。 二人は遠山の家に通いで訪ね仕事や家事を手伝うことで、罪を償おうとする。 そこへ、素江に仕事をさせようと担当編集者の木戸(木村)がやって来て彼女を連れ出そうとし、事態はそこはかとなく面倒くさくなっていく・・・。 と、いうような話。 遠山と恵子は偽装結婚で、恵子は農協の会長・安西(お金持ち)の愛人だったのだけど、おそらく妊娠を理由に別れを告げられ、遠山は恵子との結婚を条件に借金を肩代わりでもしてもらったのだろう、二人の関係はあまりにもギクシャクとしていて、おかしい。 しかし、そんな二人が、特に遠山が、気を遣いながら、どうにか相手に寄り添おうとする、でも事情が事情なだけにうまくいかない、そんな姿が絶妙。 せつねー。て、なる。 切ないのは彼らだけじゃなくて、若くて可愛くて今でも遠山のことが好きな依代のワガママで奔放なところとか、遠山と依代を心配してキレてばっかいる門田とか、魔が差して恵子に言い寄りたい進藤とか、進藤より売れちゃってることに何か罪悪感を感じてる素江とか、自分で空回っちゃって何でか知らんが素江が好きだとか言い出す木田とか。 いい大人たち、みんながみんな、不器用で馬鹿で切ない。 第一部85分、第二部55分。ちょっと長い。休憩のとき、すごく倉持さんっぽい話の進み方だけど、これは少し長すぎじゃないか? と、正直 思った。 が、二部を見終わってみると不思議とそんな感覚はなく。 あ、まぁ ちょうど良かったかも? なんて、騙された気分。 人間を真っ正面から描いているところが、倉持裕だなぁと思いました。 京野ことみ細い。びっくりする あの足。何。 最初はひっかかる「演技」がいくらか鼻に付いたけど、観ていくうちに薄れました。しょーもないお嬢さんというキャラが、よく似合っていたよ。 大倉孝二はいつもに増してキレっぱなしのキャラで、いやぁ似合う似合う。キレさしたら日本一だろ この人。しかもいい奴。曲がったことの嫌いな、小さい奴とも言えるが。いやしかし、友達思いの、実直な人です。 水野美紀は途中まで彼女だって気付かなくて、気付かなかった自分にビックリした。何かの台詞で彼女の声だ、て認識したんでした。恵子さんはずるい人だな。中途半端にオトナの女です。 多少 冗長さを感じなくもないが、ストン、と素直に入ってくる物語だったように思います。 ギターと鴨っていう小道具も満遍なく生かされていたように思う。 場転前の、それぞれの心象風景を表すような寂しい感じの演出も、効いてたし。 実はG2があんまり癖のある演出をする人ではないのか、と考えを改めました。
by ling-mu.m
| 2006-07-30 22:59
| 芝居/舞台
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