ちょっと前のことになってしまいましたが、友に誘われ国立劇場まで行って来ました。
ピナ・バウシュ来日二十周年記念公演。 演目は「カフェ・ミュラー」と「春の祭典」。 国立劇場は初めて行きましたが、何ともナンセンスな造り。 普段の演目が歌舞伎やら能やら日本の伝統演芸なので違和感がないのだろうが、それにしてもあまりに「古いまんま」と感じました。 狙った古さでもないからダサいだけだなー、と。 客席の傾斜も大してないし席は互い違いになってないし、見上げればちょうちんが吊ってあるし、ちょっとなぁ。 他と一線を画していて面白いけど、直すべきところはあるだろうと思う。 毎度アタマを悩ますダンス公演、今回は海外の巨匠の作品ということで、己がどう感じるのか楽しみに行ってまいりました。 第一部の「カフェ・ミュラー」は、並べられた椅子の中を目を閉じた女が歩いてゆく、その行く手にある椅子を必死の形相でなぎ倒す男、というのが主なモチィフ、なのかな。 予備知識ナシで行きましたから、それがどういう作品かも知らないので、目の前で展開されているものに勝手にストーリィ付けをする。 舞台の手前で踊る若い女とシンクロするように、舞台の奥手でピナが踊る。 痩せすぎた、まさに骨と皮だけのような細すぎる体躯に薄いワンピィス一枚で踊る。 それは、昔の出来事を、老女が回想しているような様。 と、思っていたが途中で物語を考えるのが難しくなったので放棄しました。 目の前で繰り広げられている光景をただ単純に心に捉える、それはやはり困難を伴うものです。 25分の休憩を挟んで第二部は「春の祭典」。 長い休憩は何のためにあるかと言えば、やはり仕込みのためなのでしょう。 椅子その他の小道具が片付けられ、何もなくなった舞台に撒かれるのは土。 焦げ茶色い土が敷かれ上下にはスポットライトが並べられ、第一部とはまるで違う有様。 いや、なかなか圧巻でした この仕込み。 そして始まった舞台は、とても、とても素晴らしかった。 二十人強(多分)の男女によって、おそらくは豊穣と春到来を喜ぶような(これもまた勉強不足でして・・・)カァニバルの仰々しさと荒々しさが表現される。 それは、あまりにもダイナミックかつ力強くて躍動的。 走る、飛ぶ、跳ねる、転がる、踊る踊る踊る。 祭典の中で少女が生贄として(おそらくは神に?)捧げられるのだけど、赤い布を手に手に少女たちが順繰りに一人の男のもとへ行き、恐れおののきながら布をさし出しては手を引っ込め、少女たちの輪の中に帰ってくる。 何人かが繰り返し、とりわけ小さな女の子が、遂に布を持つその手を掴まれ、実は赤いワンピィスだったそれを着させられ、彼女は一人 激しく踊り出す。 アタシは初めてダンスで感動したんだと思います。 人間の肉体とか身体能力とか、そういうものを超えて(あるいは全てひっくるめて)、目の当たりにしてるもの全部が素晴らしい、ブラボーだな、と。 今までで一番 素直に思えたのが、この「春の祭典」だったように思います。
by ling-mu.m
| 2006-04-10 00:56
| 芝居/舞台
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