バレンタインデイに独り見上げる渋谷駅の上の満月だって、やっぱりキレイなんだよなぁ。
-------- バイト後、Bunkamuraシアターコクーンにてケラリーノ・サンドロヴィッチ今年唯一の新作「労働者M」を観る。 年が明けてからタレントが出る舞台しか観に行けてなくて不満が募るも、小劇場は当日清算なためどうしても忙しさにかまけて行くのをやめてしまう・・・。ペニノも野鳩もチケット予約しながら行けなかった。こんなんじゃいかん。来月はきっとポツドールとシベ少を。できればチェルフィッチュも行きたいんだけどな。 今回の主演は堤真一、小泉今日子。 堤さんは去年から割と観ていて、ちょっと食傷気味なのが痛かった。 「吉原御免状」が一番 好きかな。 「エドモンド」で観る筈だったキョンキョンは、声は細いがよく通るし、ちっちゃいけど存在感がちゃんとある人でした。 毅然とした女上官と尻軽でヤリ手な女を、うまく演じ分けていたと思う。 近作は二つの世界が交互に現される舞台で、片や土星と戦争をする何処かの国のある施設、片や日本のねずみ講促進会社。 役者はみんな一人二役で、似たようなキャラだったり全然 違っていたり。 二つの世界がリンクすることは全くなく、同じ空間に存在していても あくまで別世界で、互いは全く無視される。 光っていたのは(て言うかアタシが好きなだけだが)犬山イヌコと松尾スズキ。 あと山崎 一。 山崎氏を舞台で見るのは初だと思うが、犬山さんと山崎さんの二人のシィンが秀逸だった。 犬山さんは声優声でヨゴレ的役をやっているのが好きなんだけど、今回みたいな真面目で弱い普通の女の人をやらせても面白いんだと思った。 後藤ひろひとの「MIDSUMMER CAROL」の時は物足りないと感じたので、KERA氏の演出がよかったのかなとも思う。 二つの世界は、「労働者」という言葉でなんとなく繋がれている。ような気がする。 革命運動が行われシュプレヒコールが鳴り響く国に、突如 土星人が襲ってきて戦争が始まった。 堤演じる青年(名前忘れた・・・カタカナ五文字くらい)は、一家心中で生き残ったものの八年間も昏睡状態にあり、目覚めた時 自分の世話をしていた女医・リュカ(小泉)に、市民運動参加を促される。 リュカがいつの間にか去った後も運動の中核にい続けた彼は、ある施設を破壊しようと試み、「労働者」となってそこに潜り込む。 「管理者」が「労働者」を虐げながら働かせるその施設には、彼の盟友たちの多くが既に潜入していた。 しかし彼が施設に侵入した時には、かつての仲間はみな抵抗運動に疲れ、あるいは飽き、彼に賛同するものは既にいない。 しかも施設の最上官にいるのは、彼を革命運動に誘ったリュカだった。 堤は自由の獲得を掲げ運動をする人間で、だから「人間が人間を管理する」施設に敵意を持っていたのだろうと思う。その辺はあまり明言されない。 リュカの一声で「管理者」と「労働者」が入れ替わる、その命令は「M」という人物から下っていると言う。リュカのみが、その「M」と通信ができる。 しかし通信機は本当は空き箱で、「M」は既に土星人に溶かされており(奴らは目から緑色の光線を出して物体を溶かす)、しかしラストで、通信機からは確かに声が聞こえる。 真実が何かは全く何も分からない。 施設は、リュカの独断による只の砂城だったのか。 一方の世界では、「死にたい」とウツな電話をかけてくる人間をなだめすかして信用させ、元気付けていく中で高額な商品を売りつけ、売らせる。 ねずみ講を行う会社で働く面々の日々。 女と見ればやりたがり、男と見ればやりたがる、本当に、ほんっとーぉにクダラナイ連中の集まり。 まともなのはミドリさん(犬山)ぐらいか。しかし彼女にしても一度は警察官で妻子持ちの森さん(山崎)と関係している。 愛も思いやりも優しさもない世界。 いっそ清々しいほどに、誰もがいい加減でくだらない。 そこで働く人たちは、みんなイニシャルがMだった。 自由獲得という大義名分に酔って抵抗する、あるいは自らが統率する楽園を作ろうとする人間と、目先の気持ちよさしか考えない人間。 片や大きな未来を夢見る。片や明日の我が身のことすら考えない。 対極にあるようでいて、並べられると彼らにさほどの差はないような。 少なくとも、カタカナ名の彼らが立派だとうことは決してない。 あんまり好きじゃない、かなー。 KERA作品で一番 好きなのは「ヤング・マーブル・ジャイアンツ」だ。次が「トーキョーあたり」。 取り敢えず「カラフルメリィでオハヨ」のチケットが取れるか心配。 喫煙所で鈴木裕美を見た。雰囲気は割とオトコマエ系なのに、可愛い格好がちゃんと似合ってて羨ましかった。テレビで見るより痩せてたな。 WOWOWのカメラが入っていたらしく、惜しいことをしたなと思う。放映を観ても一度は観たものな訳だから。 噛んでる人が多かったので、それも勿体ない気がする。 KERAの舞台でここまで下ネタ満載なのは初めてな気がするので、規制音なしで観れたのはやはり嬉しい。 二階席の一番後ろでしたが、割と見やすかったです。これはA席で正解の芝居だったな。コクーンシートでは絶対に観たくないけど。 カーテンコールがありませんでした。 でもそれは決して「面白くなかった」てことではないような、気がする。 「ヤング・マーブル…」の時もなかったけど、そういうのも、もしかしたらKERAっぽさなのかもしれない。
by ling-mu.m
| 2006-02-15 00:56
| 芝居/舞台
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