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ダブリンの鐘つきカビ人間
多分あと30分ぐらいで落ちるからテンション高いうちに書いてしまおう。

今日は愛すべき片桐 仁に拍手を送るべく、ル テアトル銀座にて「ダブリンの鐘つきカビ人間」を観て来ました。
劇場の名前が何となくセピア色。銀座だし(だし?)。

後藤ひろひとは多分 苦手だろうなーと思って避けてきたのだけど、片桐が主役を張るってんなら観ない訳にはいきますまい。
「MIDSUMMER CAROL」上映会とトークイベントにも行きましたし。

会場がバイト先から近いせいで えらい早く到着してしまい開場まで時間を持て余していたので、席着くのがまたえらい早かった。
そんでその席がまた近くて。二列目のど真ん中。
「パリアッチ」の時に近すぎる席には懲りてたので軽く参った。
まぁ でも片桐が間近で観れるんだからオイシイや! と気を取り直す。
ナマ仁君は三度目です。賢太郎さんにはいまだに会えません。誰かポツネンのチケットくれ。

開演前にチラシ見てたら観たい芝居がいっぱいあって、何か元気が出ました。
芝居はやっぱり薬になるなと思った。好きだわ。
これ観ないで死ねない、て思っていよう。


さて、主役片桐。トークイベントでは「ラストチャンスだと思って頑張ります!」を連呼していた片桐。記者会見でも言ってたか。
役どころは、かなり まともな、ヘンタイではないキャラで、正直ちょっと物足りなさを感じた。
仁君には、はっちゃけてて欲しいんだよ・・・。キレてて欲しいんだよ・・・。
そして出番が思ったより少ないよ!! 構成上でも、もう少し彼のシィンはあった方がいいんじゃなかろうか、と思えた。エピソードが少ないような。
土屋アンナと羹暢雄が主役みたいだったもん。

昔語りで始められるストーリィ。
霧に足止めされた旅行者のサトシ(羹)とマナミ(土屋)は、ある街の市長だったという男(池田成志)の家に宿をとることになる。
置かれていた剣、何処からか聞こえる鐘の音をきっかけに、今は何も無い荒野にかつて存在していたという街の出来事が話される。
そしてその物語の中に、何故か自らも登場してしまう若者たち。
その街の市民は、皆 奇病に襲われていた。
3キロ先のハエが見える程目がデカくなる。天使の羽が生える。柿の木が生える。巨大なヒルが食いついて離れない。
その街に視察に来た王様(後藤ひろひと)も、「偉ぶれない」病気にかかり、自ら出した封鎖命令によって街から出れない。
それぞれが悲惨な病に苦しむ中、最も哀れな男がいた。
かつては、見目麗しい美少年。街中の女が彼に惚れ、街中の男が彼に嫉妬した。ところが性格は最低で、意地悪で傲慢で不遜。しょうもない男でもあった。
病にかかり、彼は体中をカビで覆われた。腐臭を放ち容姿は醜く、誰もが彼を嫌い、遠ざけた。
その心は清く澄み、優しくて正直で真っ直ぐで、そして少し馬鹿になった。
それが、片桐演じるカビ人間。彼の仕事は鐘つきだ。正午10分前に教会の鐘を鳴らし、皆にお昼の準備を促す。
酷い病にかかる人間がもう一人。思ったこととは反対のことを言ってしまう少女、おさえ(中越典子)。
彼女がカビ人間に出会うことで物語は始まり、そして悲劇的なラストへと走る。


取り敢えず、中越典子は下手くそでした。ハセキョー程ではないけども、それは台詞が少なかったせいかもしれない。声が細い。咽で声出してるなぁ、というのが、よく分かります。
羹もそう。土屋アンナも割とそう。この三人はどうにも、何か。まぁいいんだけど。若いし。土屋アンナ可愛いし。でも怖い。目が。同じ系統なら瀬戸カトリーヌの方が断然 好きだわ。

悔しいけどすごい観ちゃったのは、守銭奴神父その他を演じた山内圭哉。渋谷で働く社長から奥菜恵とっちゃった人。
いい具合に冷めてんだ この人。市長役の池田さんとのシィンが多分 一番多いんだけど(裏の主役と言っても過言ではなかろう・・・)、池田さんがキレてるから、足して割って、ちょうどよくなるのよ。ちょっと熱めのお湯って感じで。
この二人の掛け合いは、もう たまんなかったですね。群馬水産高校。

そして「LAST SHOW」以来になるのか、侍従長役の中山祐一朗。いーい狂気っぷりですよ、この人もまた。この人いて片桐さんもヘンタイキャラだったらちょっと大変なことになって収拾がつかなくなりそう。池田さんもキレキレだし。
一番笑ったのはアレだ。マックだな。「お持ち帰りでしょうかー」「問題でーす。」
あのシィンのためだけにDVDが欲しい・・・。

そして、カビ人間・片桐。
病にかかると同時に記憶を失い、鐘をつくことに とにかく一生懸命で、人を疑わず好きな人の罪を被る、街中の人に嫌われてもめげずに挨拶を繰り返す。そんな、愚かで優しい男。
好演してたと思いますよ。イロメガネ入ってるかも知んないけど。
僕が鐘をつかなくちゃ、みんなお昼を逃しちゃう。本気でそう思ってる男。
かつては言葉巧みに人をだまし弄んでいた眉目秀麗な男は、容姿の変わりに美しい心を手に入れた。でも、その生き方はあまりにも不器用で真っ直ぐで、イタい。
何が彼をそんなに、鐘つきへと突き動かしたんだろう。
命を落とす危険を冒してまで、鐘つき堂に登った。そして結局、最期は鐘を鳴らせないで死んでしまった。
子供みたいに、理屈抜きの真っ直ぐさ。を、示したかったのかな。
利己的な画策をする市長と神父の真逆にいる。かつての自分の真逆にいる。
でも、結局カビ人間は幸せになんかなれないじゃないか。嵌められて死んで、馬鹿を見たじゃないか。

お手本みたいに、こういうのが正しいんだよ、て示されないのは苦しいね。
こうあるべきなんだよ。こうすればきっと幸せになれるんだよ。
そんなマニュアルはねぇよ。
それが現実なんだよねぇ。


後藤ひろひと。「ザリガニ王子」以上にでしゃばってましたねー。
やっぱりねぇ・・・ちょっと苦手なんだよ。舞台一回分、通しで見るには、ガチャガチャし過ぎてんだ。この人の笑いは。くどい。
でも、面白いんだよねぇ・・・。好きな類よ。それは確か。後藤さん自身も芸達者な人だし(演じられるキャラはかなり限定される人ではあろうが)。この人はエンターティナーだな、て思う。注目 浴びるの大好きなんだろうな、て。
でも、役者さんはこの人の書く長台詞を消化しきれてないよね。そういう演出なのかしら。それにしては聞き苦しかったわよ。頑張ってたけど。勿体ないなーって思った。
土屋アンナのほぼ棒読みは…演出なのか。一応 外の世界の人間な訳で・・・そういう表れ?
おさえの婚約者やった橋本さとしは流石の浸りっぷりでしたが。経験の差、かな。
そんで司会者役の舌の回り方 観て、やっぱりこ後藤さんはすげぇや、と思った。まぁ自分の書いた台詞だから、てのもあるだろうけどもさ。

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2002年にやったのの再演な訳ですが、初演時もかなり興味津々な面子でやったんですね。
カビ人間に大倉 孝二。おさえに水野 真紀(どうなんだ? はなまるなイメージしかないぞ・・・)。長塚 圭史も出てますね。何やったんだろ。エンクミも出てる。
あー。大倉 孝二の名前を見たら「赤鬼」が観たくなってしまった・・・。でも長いから嫌・・・。
こないだNHKでダンダンブエノの「礎」の放映をやってて、見たら観客席にアタシがいました。あらまぁ。意外な形でテレビ出演(違)。しかも国営(お上がやった不祥事で迷惑被ってる若いチカラがいっぱい あるのだろうに・・・。つって、親に受信料払うなって言ってますけど。払ってますけど)。
みうらじゅんのスライドショーをWOWOW放映で観て、迷った末にチケット取らなかったことがちょっとだけえ、ほんとにちょっと、悔やまれました。kbt・・・欲しかった。
「12人の優しい日本人」は、多分、きっと、WOWOWでやるよね。三谷幸喜だしね。何なのさ10分で売り切れって。まったくもー。
by ling-mu.m | 2005-10-31 23:21 | 芝居/舞台
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