<< 東京グローブ座を訪問 礎 >>
ヤング・マーブル・ジャイアンツ
家に帰る道をいつもと変えてみたら迷子になって見たことない夜景スポットに出会う。
200メートルぐらいの急勾配の坂の上。
結局 引き返して全力で走って下って膝ガクガク、汗ダラダラ。
爽快で一瞬だけゴキゲン。

-----------

今月シメの一本は、吉祥寺シアターにてKERA・MAP♯004「ヤング・マーブル・ジャイアンツ」。
「砂の上の植物群」を観た時に確か仮フライヤーみたいのが入ってて、取り敢えずもう一回ケラ作品を観てみようと思って、チケットを取った。
総勢35名の出演者がフルキャストオーディションってことで、♯003とは色合いの違うものが観れるだろうな、なんて深いことは一切 考えず(大体その事実をすっかり忘れていた)、面白いといいなーって適当に期待しながら、ちょっと恐る恐る(ケラの描く不条理さは何とも歯切れが悪くて気持ち悪いものだから)足を運んだ。

結論から言えば、今月はホントにいいチケットの取り方したな! という満足感を頂いて帰路に着いた。

土間舞台のスペースを使えるだけ使って、35人でのゆるーいダンスから始まる。全員の顔振りがまず知らされ、役者の年齢層の低さに驚く(20~30代前半)。ギラギラした目が若さを告げる。内に持つ熱の温度はそれぞれなれど、平均的に高すぎるぐらいだろうってことは見てれば分かった。定説としてではなく、その場の空気がそう教えてた。
700人から選ばれた人達。

ダンスが終わって暗転、授業中の教室になる。男教師と、8人の中学生。
次のシィンは、レストランで別れ話をする不倫カップル。職場の上司と部下。
そこまで観て、感じたのはシティ・ボーイズライブと似てるってこと。
「あ、これコントなんだ?」て思って。芝居じゃないんだ、て。
登場人物は全部リンクしてるから、物語色の強いコントなんだ、て、芝居が終盤に差し掛かるまでずっと思ってた。かるーい感じの舞台なのね、て。
でも違ってた。そこにあったのは紛れもなくひとつの「お芝居」で。
過去と現在、こことあそこが複雑に交差して織り成されるシィン展開。

手首を切った少年、その少年に弱みを握られてスリをする同級生、そこには恋心なんかも絡んできて、一方では不倫していた上司に自殺された女性、彼女は少年のお姉さんで、彼女の職場の同僚2人は何故かダンボールを運ぶ途中に遭難して色んな所に迷い込む、最後にはイメクラで働くことになったりして、少年が手首を切って運ばれた病院ではそろそろ古株の看護婦が若い看護婦に嫉妬して老いゆく自分を嘆いてる、ところで少年が何でお金が欲しいかと言えば惚れた転校生の兄貴が不治の病で治療費が必要で、でもそれは嘘で兄妹に騙されていたんだけど勧善懲悪みたいに兄妹は死んじゃう、お姉さんの職場の密かに彼女に思いを寄せていた男も死んじゃう、今時 結核で。

大体 そんな話なんだけど、実はそれっていうのは姉が少年に聞かせるための作り話で。
お姉さんは職場の人を使ってそんな話を作ってたということがバレて職場をやめるんだけど、多分 それすら作り話で。
全部、虚構。
ところどころでファンタジィみたいな物語り群は、ありえねーってのが殆どで勿論 観客は虚構として承知の上で観るんだけども、全てが作り話だと気付かされた時に、「虚構の中に事実を見出そうとする」自分の姿に出会うんだ。真実ではなく、事実。本当のこと。
凄いと思った。うまく言えないんだけど凄い作り方すると思った。
前作とは全然 雰囲気の違う代物。色が違う。別人が作ったものみたい。

全部 嘘なんだけど、ひとつだけ本当らしいことがある。
お姉さんは左目に眼帯をしていて、それっていうのは男と喧嘩してる最中にフォークで自分の目玉をくりぬいてしまったからなんだけど、最後に兄妹だけがいるセットも何もないシィンで、彼女の眼帯だけが変わらないでそこにある。
それが示しているものは?

そして、出演者 全員が兄妹の姿になって劇場のあちこちから現れて、舞台は兄妹でいっぱいになる。彼らはそれぞれ会話をしていて、会話の内容はあの嘘の世界にあったりして。
もう何が何だか分かんなくなってると、極めつけは舞台一番奥の壁がガーッて開いて、それは劇場の搬入口の扉なのでつまり開いた先にあるのは本物の道路と住宅で、宅配トラックとかタクシーとか普通に通ってくし目の前は誰かの家の門構えで、その世界に兄弟たちは出て行ってしまう。
虚構が現実に流れ出す、の図。
何かちょっと寺山修司チックな。


破天荒な舞台。役者 脱ぐし。すっぽんぽんだし。しかも何人も。
面白かった。


吉祥寺シアターについて。
某授業でコーディネーターやってる先生の事務所が手がけたところで、授業時に見学に行ったので行くのは二度目。芝居 観るのは初めて。
見学した時にあらかた見せて貰ってたので、ステージがホントいっぱいいっぱいに使われてることに驚いた。あの壁の向こうって洗濯機じゃん! みたいな。
吉祥寺シアターはなかなか面白いつくりをしてる。
客席には2階から入るようになってて、劇場空間の周りには回廊がめぐらされてる。そこも一種の舞台裏で、ケラさんのときはここが楽屋になります、て支配人が言ってて、アタシは4列目の結構 低い位置でしかも一番 隅だったから、壁の向こうでなんかゴソゴソいってるのを何回か聞いて、あーこの向こうにいるのねーて思ったらちょっと楽しかった。
目に見えるところにも回廊があって舞台空間として使えるんだけど、今回はそこもフル活用で。
搬入口まで使っちゃうし、ホント、使い切った! て感じなんだろう。

劇場を生かす、てことを考えるのが多分 結構 楽しい場所だと思う。
出来たばっかで綺麗だし。椅子はあんまりよくないんだけど。

30日に追加公演が入ったから千秋楽ではなくて、ここのところの寝不足続きで不本意にも途中で意識が飛んでしまった(決して退屈した訳ではなく。不可抗力)アタシは、できればもう一度 観に行きたかったんだけど当日券も無理そうなので大人しく諦めた。

ところで拍手が小さくて短くてアンコールもなくて、私的には凄い不満なんだけど他の人は面白くなかったのか? 久し振りに質の高いお笑いを見せてもらったと思ってんだけどな。
[PR]
by ling-mu.m | 2005-06-30 00:24 | 芝居/舞台
<< 東京グローブ座を訪問 礎 >>