大分 前にWOWOWで放映された舞台をビデオに撮りっぱだったなぁ。と、思い出したから観てみた。
大沢たかおと長塚京三の二人芝居。声の出演でもう二人出てきましたけども。 図書館司書だったハリー(大沢)は、カード目録が廃止されてコンピュータでデータ管理されるようになることを抗議したためにクビにされた。 IT化を中止しカード目録を残すことを要求して、ダイナマイトを仕掛けて図書館に立てこもる。 そこにやって来た刑事(長塚)が、彼の話を聞きながら説得を試みる。 カード目録の偉大さ、それを生かす司書の必要性、自分たちが要らなくなることへの恐怖。 愛する図書館が、愛する本が不要なものになっていく未来に怯え、それを阻止することが自分の使命だと主張するハリー。 一方、図書館を救い、ハリーの命を救うことが自分の仕事だと言う刑事。 長い長い説得劇の行方は、果たして救いがあったのか否か。 舞台をカメラで撮ってテレビで流してそれを観る、というのは純粋な見方じゃないよね。 どちらかと言うと映画よりかはドラマの手法で撮られてる映像で、役者のアップがガンガン出てくるから尚更。 でも量こなすためだからあんまり気にしない。気にしてられん。観れるチャンスは逃しちゃ駄目だろ。 大沢たかおカツゼツ悪いんじゃないのと思った。それとも実際の劇場で観たら違うのかな。 そんなことないよね。 長い台詞をひといきに言うことが多くて、そういう脚本柄だからのことかもしれないけど。 え、今ナニ言った? てのが結構 多くて。さほど困りはしなかったけど。 立てこもり犯は真っ直ぐで自分を信じててあんまり憎めないキャラ。て設定は割とありがちかもしれないけど、愛しく思えたから別にいい。 ハリーは自分が勤めていた図書館がすごく好きで、その価値も分かっていて、頭もよくて本の知識は莫大に持ってる。 司書という仕事に誇りを持っていて、人が触れ合って対話して本と出会うことが大事だと思ってる。その出会わせる役目を担っているのが司書なんだとも思ってる。 ハリーが恐れているのは、そんな司書の役割が奪われることと、本という媒体自体の消滅。 彼は、人はいつかそのうち、データベースでしかものを読まなくなると言う。 みんなコンピュータに入れられて、紙に印刷して装丁を整えて出版される形はいずれなくなってしまうと言う。そして、この物語が警鐘を鳴らしているのも結局はそこなんだと思った。 ハリーは図書館以外にも、田舎の可愛い素朴な喫茶店がスタバになること、客と対話して物を売る小売店が巨大ショッピングモールになること、を、恐れていた。 個がなくなり画一化されてしまうことに、怒りを覚えていた。 分かりやすい問題。きっと作者はものすごくそのことが怖かったんだろう。だからここまで極端に、今 変わりつつある姿を批判しているのだと思う。 私はもうスタバにもジャスコにもビックカメラにも慣れてしまっているので、量販店がそこまで悪いものとは思えない。 大体、自分のバイト先がまさに量販店でしかも本屋で、だから何とも言い難い。 勿論、そのデメリットも知ってる。 デカいところだから、他のフロアはおろか、自分のフロアの商品ですらろくに把握できていない。コンピュータでデータ管理されてるから、書名なり著作者なり、何らかの情報があれば本を探すのは簡単。その安心感が、商品知識を増やすことを怠らせるという事実(売れ筋なのに分かってないと怒り出す客もいるから、ある程度は頭にいれておこうと心がけはするけども)。 でも、こんな感じの本が欲しくて、と曖昧な、特定の書籍を求めていない場合はコンピュータは弱い。そんな時は人間に聞いてしまった方が断然 速い。そのジャンルの棚を担当している人間。 コンピュータほどに膨大で抜けのない情報は持っていないけども、客の言葉を直接 聞けるし聞き返すこともできる。そこで理解が一致して、客の満足できる本を案内することができる。 データベースがあるとすごく便利だけど、それだけじゃ成り立たないことも知ってる。そして、それに対応しているのが現実。 だから、ハリーの恐怖はホントは嘘だよね、て見方をしてしまった。 極端なほどに言って初めて通じる、それは分かるけれども、でもだって人間は必要だし本はなくならないよってことも知ってるから。 本がなくなるなんてことはないと思うよ。 今は携帯画面で小説読んじゃうなんてツワモノが沢山いたり、携帯でなくてもPCで商業小説が読めたりするけど、でもそれは新しいメディアが増えただけであって、本という媒体の消滅の危機ではないと思うのだよね。 活字離れだ本が売れないだ言われてるけど、それは事実だろうけど、例え縮小はしてもなくなるということはないと思うんだよ。 アタシみたいに、「本を読むこと」というより「本そのもの」が好き、という人はかなりいる筈。全くの予想でしかないけども。 本が大量に並べてある、その絵(景色)が好きで、要らない本も捨てられない。そういう人間です私は。 データベース化の功罪。そして画一化されることの恐怖。 言いたいことはすーごく理解できるけど、それは確かにあることだけども、でも嘘じゃん? と思ってしまった・・・。 二人のやりとりはとても面白い。台詞は好きです。台詞はすごく好き。メモを取りたい言葉があっちこっちに散らばってた。 家族について語るところがいい。二人とも、自分の家族に普通に愛情を持っているんだ。 変にひねくれていなくて、ストレートなところがいい。やっぱりなんだかんだ言って大事だもの家族って。大抵の人にとってはさ。 大沢たかおが可愛かった。舞台ならではの人格じゃないかしらね、これって。映像でこういう役やられても、ビジュアルに邪魔されてしっくりこないと思うよ。 Defiled情報
by ling-mu.m
| 2005-02-06 04:42
| 芝居/舞台
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