見よ!! 貞操の洗濯場を爆進する童貞の機関車の英姿!!
飢餓と貞操の対峙、生活と性欲の争闘を続ける凄惨な絵巻を、人類の二大使命を交戦せる地球上を、無軌道に爆進する装甲車。唇の磔、乳房の手溜弾、素足の砲列、アルコールの嵐、うヰンクの煙幕を衝いて猛進! 猛進! 轟然天地に響く吾等の機関車の巨吼を聞け。 見よ!! 童貞の機関車の爆進するところ、不景気を吹きとばし、貧乏神は戦慄す。 以上は、ある本の広告スペースに載っていた、『童貞の機関車』という本の広告文。 ちなみに著者は“ドクトル島洋之助”とあります。 読んでみると、いかにもーな昔っぽさを感じません? これ、実は昭和初期の広告なのです。 (広告が載っていた本の発行が昭和六年なので、同時代のものと思っていい筈) どこが、って言及できないんだけど、古臭い匂いがぷんぷんしてる。 書いてる側は真剣で、おそらく当時の読者も普通に受け止めたんだろうに、21世紀に生きる人間にとっては何故かギャグになってしまう。 うーん。面白い話。 他にも広告が載っていたのでついでに紹介。 『猟奇風俗百貨店』、長河龍夫・著。 殺人的不景気の現代生活に於て獨り色情文化だけが他の文化頂を超越して、奇形的に発達し、今や正に其露出時代を出現しつゝある。見給へ銀座街頭を練り歩く我等のイブ達が、 ▲棒紅とコンパクトで叩き上げた顔。 ▲透いて見へるワンピースの薄物。 ▲臀部へずり下がったバンド。 ▲危げな足の痛そうなハイヒールの靴。 ▲素足に紛らう肉色のスタツキング。 ▲不恰好な槌の一様のパラソール。 それで曲がつた不恰好の足を惜しげもなく大股に闊歩し『どう私の脚線美』はてな顔をするモダン、シークレデーの瞳は果して我等に何を囁くか? 『洗へば清浄に返へる』と云ふ貞操観を持つ欧米の女性『世界一の貞操を誇る』日本の女達は果してレビユー、シャズ、チャールストンと此の速やかなテンポの反映に毒せられず誘惑されないのであらうか? 『貞操の洗濯場』、ドクトル島洋之助・著。 驚異すべき世界人肉市場 『洗へば清浄に返へる』と云ふ『貞操観念』を持つ欧米文明國女性の好色と淫蕩とを縦横に論じ、カフエー、酒場、レビユーが織り出す酒と光とジャズの――歡楽境の交響楽――を通じて、暗黒と陰惨のモザイクを巧に描寫し大戦後の爛熟せる世界の人肉市場に乱舞せる情痴、感覚を一目瞭然たらしめたものが本書である。 ・・・・・・ホントはもっと難しい漢字たっぷりで情緒あふれてんだけどね。めんどかったの。ゴメンナサイ。実物見ると感動するよ。 写してて思ったんだけど、古臭さを感じるのは書いてある内容にも因るんだね。 いやぁ、新鮮。 こういう歴史への触れ方もあるってことだ。ね。
by ling-mu.m
| 2004-12-01 00:39
| 活字/漫画
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